うーん、なかなか趣深い・・・
アユタヤには、日本人町(アユタヤにほんじんまち)があって、その跡地にもたたずんでいた。
14世紀中ごろから18世紀頃まで、最盛期で1000~1500人の日本人が住んでいたらしい。
「今自分が立っている、まさにこの地面の上で、戦国時代の日本から渡ってきて、住んでいたんだあ」
「現実に居たのに、今は誰もいない、不思議だ」
「この世ってのは、まさしく、夢、幻の類やなあ」
などと感傷に浸っていたのを覚えている。
滞在4日目ぐらいだったでしょうか。
おっ、ちょっと両替しておこう、と思い、厳重に鍵をしてあるウエストポーチから、US$を出しま・・・
出しま・・・
・・・
なあい!!!
ないんですけど!
マイマニーが!!!
US$2400!
トラベラーズチェックはある。
が、現金が無い。
ん、なんだ?
タイバーツの紙幣が1枚あるぞ。
なんか書いてあるんですけど・・・
you are good man
はあ?
どうした?
何が起こった?
(ただいま狼狽中)
あれだ・・・
あれだああああ!!!
しかし、どうやって?
パニクっていて、はっきりしていない記憶を必死で辿りました。
そういえば、あのおっちゃん、確か「あなた自身、そしてあなたの持ち物全てを清浄にしなくてはなりません。持ち物すべてをちょっと貸してください。」とか言って、私のリュックやウエストポーチ全てに息を吹きかけてたぞ・・・。
しかし、ウエストポーチには鍵をかけてあったはずだし、その様子も一部始終見ていたのに!
「持ち物祝福の儀式」も1分とかからなかったはず。
でも、あのタイミング以外ない・・・
催眠術だ。
催眠術に違いない!
でも、あの紙は?
私の個人情報を事前に入手する機会はいくらでもある。
というより、バンコクでパスポートを見せる機会は、宿とか、換金所とかいくらでもあるので、そこと連携したグループが、後をつけてきたと考えるほうが自然だ。
しかし、親の情報は?
これだけは、いまだもって分からない。
シンガポールにいた時でさえ、親の情報を開示したことはないはず。
これだけは、催眠術じゃないように思う。
紙に書かれていた筆跡まで、いまだに記憶しているのだが・・・
超能力+催眠術か。
何らかのトリックで、中身すり替えが成功したとしても、その後、わざわざ別の紙幣の裏に「you are good man」などと書いている時間などなかったはずだ。
とすると、はじめから成功することを見越して書いていたのか。
それとも、いつも、感謝のメッセージ入り紙幣を持っていたのか。
もしかすると・・・
催眠術のようで、本物の超・能・力なのか。
そのあと、少し精神状態がおかしくなったが、気を取り直して、警察に駆け込んだ。
一部始終を話した。
警察の人の反応は・・・
「それは大変だ」
「しかし、犯人は捕まらないでしょう」
よくある事件なのか聞いてみたら、「こんな珍妙な事件は初めて聞いた」と言った。
本当?
お人好しの外国人によくある話だ、と適当に流してるだけじゃないんですか?
涙目になりながら、警察を後にしたのであった。
つづく
つづく